著: | 広川雅之(お茶の水血管外科クリニック院長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 234頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2018年06月30日 |
ISBN: | 978-4-7849-6250-1 |
版数: | - |
付録: | 電子版閲覧用シリアルナンバー(巻末綴じ込み) |
■ 約9万件の静脈エコーを行ってきたお茶の水血管外科クリニックの下肢静脈エコーのテクニックを詳しく解説。プローブの持ち方から静脈奇形の診断まで、他の追随を許さない圧倒的わかりやすさ!
■ 副伏在静脈・穿通枝・ヒラメ筋静脈血栓・血管奇形をいかに診断するか?うっ滞性皮膚炎って何?フォーム硬化療法ってどうやるの?穿通枝って何?動静脈奇形と動静脈瘻の違いって?すべての疑問に答える「お茶クリ流下肢静脈エコーおよび下肢静脈瘤診療」実践の書!
■ どこにも書いていない、お茶クリ流「フォーム硬化療法の実際」「血栓性静脈炎の治療」「うっ滞性潰瘍の治療」を詳しく解説。
第1章 診療編─まさかこんな診療していませんよね?
1 放置型:某大学病院血管外科医A医師の場合
2 無関心型:内科開業医B医師の場合
3 脅迫型:某病院中堅外科医C医師の場合
4 ぼったくり型:下肢静脈瘤専門クリニック院長D医師の場合
第2章 診断編─ここが肝心,一番大切!
1 問診のコツ─まずは話を聞きましょう!
2 脚の症状はいろいろ
3 とても大切!“仕事と生活環境”
4 視診・触診のポイントは?
5 見逃さないで!“うっ滞性皮膚炎”
第3章 検査編─今日からできる静脈エコー
1 静脈の検査って何があるの?
2 静脈エコーの準備をしよう!
3 静脈エコーに入門
4 ドプラ法で逆流を見つけよう!
5 深部静脈の検査
6 静脈エコーの実際
7 検査所見を書いてみよう!
8 上級者への道
第4章 治療編─いろんな治療があるんです!
1 弾性ストッキングってナンだ?─普通のストッキングとは違うんです!
2“かんたん”フォーム硬化療法
3 下肢静脈瘤が痛くなった?!─血栓性静脈炎の治療
4 ぐんぐん治る! 潰瘍治療
第5章 手術編─いろんな方法があるんです!
1 日帰り手術は“血管内焼灼術”
2 ストリッピング手術,高位結紮術─まだまだ現役?
3 最新の下肢静脈瘤治療“アロンアルファ?”
下肢静脈瘤診療お役立ちコラム
1 下肢静脈瘤は深部静脈血栓症を起こしやすい?
2 下肢静脈瘤のTNM分類─“CEAP分類” って?
3 血管腫って呼ばないで! クリッペル・トレノネー症候群
4 静脈弁の話
5 静脈の高血圧?
6 静脈脈瘤(じょうみゃくみゃくりゅう)ってナンだ?
7 弾性ストッキング・コンダクターって?─ 弾性ストッキングのソムリエ
8 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会とガイドライン
9 手の静脈瘤ってあるの?
エピローグ
索 引
序文
本書は,2009年発行のjmedmook「いきなり名医! これでわかった下肢静脈瘤診療」を改訂, 単行本化したもので,2015年8月の末に今回のお話を頂きました。当初は一部書き直すぐらいのつもりでしたが,実際には全面改訂となり2年以上かかってしまいました。
前著以来,下肢静脈瘤診療を取り巻く環境は激変しています。2009年当時はまだストリッピング手術が主流でしたが,2011年に血管内レーザー焼灼術が保険診療になったのをきっかけに血管内治療は全国津々浦々で行われるようになり,現在では下肢静脈瘤の標準治療となっています。それに伴ってエコー検査の重要性も増しています。フォーム硬化療法も一般的に行われるようになりました。本書はこれらの新しい治療や検査をきちんと行うためのマニュアルです。
手術だけではなくあらゆる技術を身につける際には,「守破離(しゅはり)」の考え方が最も大切です。師匠の型を守って(守),改良し(破),そしてまったく新しい型をつくる(離)ことが最終目標になります。ほとんどの人はたくさんやれば手術や検査がうまくなると思っています。しかし,実際にはチャンスは3回しかありません。1回目は他人のやっているのを見る,2回目は自分でやってみる,3回目は人に教える,です。この中で最も大切なのは1回目で,いかに細かく正確に見て2回目で忠実に再現できるかが勝負で,これは守破離の「守」に通じます。
ところが,多くの人は見ることをおろそかにして「破」から入ります。これでは何千例やっても決して技術は身につきません。題名に「お茶クリ流」とつけたのは,本書の内容は1つの型であり,まずこの型をしっかりと身につけた上で次のステップに進んでほしいと思い,このように名付けました。
医師だけでなく下肢静脈瘤診療に携わるすべての医療関係者に読んでもらえるように,本書はできるだけわかりやすい表現を心がけ,外国語にはカタカナで読み方を併記しました。
最後に,医療は患者さんのためにあります。医療者の自己満足の医療ではなく,患者さんが満足する医療が行われなければなりません。本書がその一助になることを切に願います。