【質問者】佐藤宏行 東北大学病院循環器内科
【HFrEFの有無によらず現行の冠動脈疾患に対する適応を踏襲すべきである】
まず,結論からお答えすれば,HFrEFが併存する冠動脈疾患(coronary artery disease:CAD)について,その血行再建に特別な適応があるわけではありません。
CADとHFrEFとの関係は多岐にわたり,CADが直接寄与する心機能低下から心筋症に伴う心機能低下にCADが併存する病態まで,様々です。そのため,①HFrEFとして至適薬物療法を行うこと,②心筋バイアビリティの評価を主体としてCADが心機能低下に与える影響を検討する(それをふまえて血行再建のrisk/benefitを検討する)ことが最も重要です。
HFrEF併存CADへの血行再建について,本邦では「2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療」の中で「心不全とCADを疑う所見があり,血行再建によるベネフィットが得られる可能性がある場合に,侵襲的冠動脈造影の施行を考慮する。Class Ⅱa」と言及されています。もしCADを認めた場合,血行再建の適応については「心不全や左室機能障害,進行した腎臓病,あるいはフレイルを伴う患者において, 症例ごとにリスクとベネフィットを考慮する。Class Ⅱa」とされています。
残り598文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する