著: | 稲田英一(順天堂大学名誉教授、公益財団法人東京都保険医療公社 東部地域病院 病院長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 800頁 |
装丁: | 単色 |
発行日: | 2020年11月16日 |
ISBN: | 978-4-7849-6213-6 |
版数: | 第11版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
診療科: | 麻酔・ペインクリニック | 麻酔・ペインクリニック |
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1:麻酔科学の発展性
2:麻酔は知的ゲーム
3:麻酔計画法
4:麻酔科医に必要な資質
5:麻酔科領域特有の疾患対処法
6:麻酔の安全対策
7:周術期における感染対策
8:術前診察と術前投与薬、術前経口摂取
9:麻酔導入
10:気道確保の基本的ストラテジー
11:気道のトラブル
12:筋弛緩薬とその拮抗
13:全身麻酔の維持と覚醒
14:気管挿管と陽圧呼吸の持つ本質的問題
15:循環モニタリング
16:輸液と電解質管理
17:輸血療法と凝固管理
18:脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔・神経ブロック
19:術後鎮痛と鎮静
20:体温管理と悪性高熱症
21:術後早期合併症と麻酔後回復室
22:脳神経外科手術の麻酔
23:心臓麻酔と循環管理
24:胸部外科手術の麻酔
25:産婦人科麻酔
26:小児麻酔
27:整形外科手術の麻酔
28:泌尿器科手術の麻酔
29:耳鼻咽喉科・眼科手術の麻酔
30:緊急手術の麻酔
初版から30年、第10版を上梓してから2年半という時が過ぎた。その間に、年号は平成から令和へと変わり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで私たちの生活様式も大きく変化した。その間も、麻酔科学やその関連領域では、多くの新しい知見が積みあがってきた。今版でも、新しい術式に対応する麻酔管理方法や、新しい薬物の使用法、術前・術後管理における変化などを含む大幅な改訂を全章にわたって行った。多くの図表の追加も行った。重要な知見が報告された場合には、ようやく書き終えた章も、書き直しをするという作業を行ってきた。本文中には過去10年の間に出された重要な論文を記載するようにした。未解決の問題も多く、いまだに活発に議論が交わされている領域も多い。ただ、患者の安全を守るために私たちが従う根本思想に変わりはない。
術前外来の実施が広がるにつれ、麻酔の術前回診の在り方や患者との関わりも変化してきている。第8章「術前診察と術前投与薬、術前経口摂取」では、前投薬の部分はすべて削除した。第7章「周術期における感染対策」において、患者や自分自身を守るために麻酔科医が実施すべき感染対策に、新型コロナウイルス感染症も含めた。薬物全般についてその作用機序をより詳細に記載し、使用上の注意点などが理解できるようにした。第9章「麻酔導入」ではレミマゾラムについて追加したが、今後さらに知見が増えていくことが期待される。第12章「筋弛緩薬とその拮抗」では、筋弛緩薬効果残存のリスクと、その客観的評価法について強調した。
周術期管理に関しては、multimodalな全身麻酔法や鎮痛法、抗凝固療法、術中の肺保護換気や人工呼吸関連肺障害についての記載を充実させた。輸液管理ではグリコカリックスの役割や、zero balanceなど新しいアプローチ、輸液反応性の評価についての記載を充実させた。術後早期合併症では非心臓手術後心筋傷害(MINS)のほか、2020年に出された術後せん妄予防や、術後悪心・嘔吐の予防と治療ガイドラインに沿った記載を追加した。
各科麻酔の章では、ロボット支援下手術、薬物の胎盤移行性、硬膜穿刺後頭痛、緊急帝王切開の麻酔、麻酔薬の幼若脳に対する毒性などのトピックスに関する記載を充実させた。
書き終えてみると、まだまだ書き足りなかったと思う部分もあるが、この2年あまりに蓄積された重要な知見の多くは含められたのではないかと考えている。今回は本書と並行して、問題集も作成した。本書と合わせて活用して頂ければ幸いである。
本書を一つのきっかけとして、さらに質の高い周術期管理を目指して頂きたいと願っている。