No.5226 (2024年06月22日発行) P.56
川股知之 (和歌山県立医科大学麻酔科学教室教授)
今野俊宏 (秋田大学医学部麻酔蘇生疼痛管理学講座)
新山幸俊 (秋田大学医学部麻酔蘇生疼痛管理学講座教授)
登録日: 2024-06-19
【質問者】川股知之 和歌山県立医科大学麻酔科学教室教授
【APSは術後の痛みや合併症に対応する医療チームである】
APSは術後の痛みや合併症に対応する医療チームで,わが国では令和4(2022)年度診療報酬改定で「術後疼痛管理チーム加算」が新設され,多くの施設でAPSが活動しています。APSは麻酔科医,所定の研修を修了した専任の看護師,薬剤師,臨床工学技士による多職種で構成されており,それぞれの専門性を発揮することで,より有効に機能すると考えられています。APSの活動は,患者満足度を向上させる可能性があり,期待されています。
ここではマルチモーダル鎮痛が基本となります。マルチモーダル鎮痛とは,相乗的な鎮痛作用を得る目的で作用機序の異なる鎮痛法を組み合わせるものです。具体的には,区域麻酔(硬膜外麻酔や末梢神経ブロック),創部浸潤麻酔などの局所麻酔,アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal antiinflammatory drugs:NSAIDs)の静脈内/経口投与,オピオイドの静脈内投与などを組み合わせます。
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