政府は19日、2017年度の自殺対策白書を閣議決定した。SNS(LINE、チャット、Twitter)を活用した相談事業の成果と課題を分析するなどしている。
白書によると、3月の自殺対策強化月間に13団体がSNSによる相談を実施したところ、相談件数は1万129件(LINE:1万17件、チャット:87件、Twitter:25件)に上った。
相談者の年齢構成は19歳以下が42.7%で最も多く、20~29歳39.4%、30~39歳9.6%、40~49歳6.7%、50歳以上1.6%だった。男女比は女性87.9%、男性12.1%で女性が多数を占めた。
事業を実施した団体との意見交換では、「対面や電話でのコミュニケーションが苦手な人を相談につなげられた」などの成果が報告され、SNS相談のニーズが明らかとなる一方、「相手の反応が見えない」などの難しさも指摘された。その上で白書では、SNSはあくまでも相談の入口として「相談者の抱える課題解決のための、リアルな世界での支援につなげていくことが重要」などの課題を挙げた。
このほか、自殺の現状も記載。17年の自殺者数は2万1321人で、前年よりも576人(約2.6%)減少し、8年連続で減少している。
日本の自殺死亡率(人口10万当たりの自殺者数)は16.8(2016年)。他の先進国の自殺死亡率は、英国7.5、ドイツ12.6、米国13.4、フランス15.1などとなっており、日本は他の先進国より高い。
年齢階級別の自殺死亡率は全体的に低下傾向にあるものの、20歳未満は1998年以降おおむね横ばい。自殺の原因・動機は多い順に、健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題などとなっている。