株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(4)トピック・骨髄異形成症候群とCHIP[特集:高齢者の貧血を診たら骨髄異形成症候群を考える]

No.4914 (2018年06月30日発行) P.46

牧島秀樹 (京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座講師)

登録日: 2018-07-02

最終更新日: 2018-11-28

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

健常高齢者の血液細胞には何らかの遺伝子変異が蓄積している

骨髄異形成症候群(MDS)において高頻度に認められるDNMT3A,TET2,ASXL1の変異が,いまだMDSを発症していない健常高齢者の10%にクローン性造血を起こす(CHIP)

CHIPを起こす遺伝子変異に加えてさらに遺伝子変異が蓄積するとMDSを発症する

1. 骨髄異形成症候群(MDS)におけるゲノム異常

骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は血球減少と白血病進展を特徴とする,高齢者に多い骨髄系悪性腫瘍である。原因は様々なゲノム異常で,これまで50余の遺伝子(図1)がMDSを引き起こす,いわゆるドライバー変異をきたすことが報告されている1)。MDS細胞を次世代シーケンスにより解析すると,1症例当たり複数のドライバー変異が検出される2)3)。したがって,MDSが発症するまでの一生のうちに複数のドライバー変異が血液細胞に蓄積することが示唆された。実際,近年の詳細な研究により,どの遺伝子にどのタイミングで変異が獲得されるとMDSを発症するか,詳細が明らかにされた4)。まず,MDSを発症する以前に獲得される遺伝子変異について説明する。

 

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top