日本医療機能評価機構は15日、「医療安全情報No. 139」を発出した。機構は2014年から16年に提供した医療安全情報について、17年にも再発・類似事例が報告されているとして注意喚起している。17年に報告があった再発・類似事例は合計で40件に上る。17年の報告が最も多かったのは、「与薬時の患者取り違え」で6件。
そのうちのある事例では、看護師Aは、看護師Bから患者Xの経腸栄養剤と抗けいれん薬の投与を依頼された。看護師Aは、リストバンドやベッドネームで氏名を確認しないまま患者Yを患者Xと思い込み、患者Yに経腸栄養剤と抗けいれん薬を投与した。看護師Bが患者Yの病室に行った際、患者Xの氏名が書かれた栄養剤のボトルが接続されていることに気付いた。機構が16年に「医療安全情報No.116」を発出した際には、医療機関の再発防止策を紹介。「与薬時、薬包などの氏名とネームバンドを照合する」「口頭で患者を確認する際は、患者に氏名を名乗ってもらい、薬包などの氏名と照合する」と注意喚起している。
次に17年の報告が多かったのは「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」「胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え」「薬剤の投与経路間違い」「口頭指示の解釈間違い」「誤った患者への輸血」「中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症」で3件ずつ報告されている。
このうち、「薬剤の投与経路間違い」の事例では、患者は右前胸部にCVポート、左前腕に末梢静脈ルートを留置していた。CVポートから投与するフルカリック3号輸液を調製する際に、看護師Aと看護師Bは混在する薬剤の内容と量は確認したが、投与経路を確認しなかった。看護師Bは、注射指示書の投与経路の指示を確認しないまま、フルカリック3号輸液を末梢静脈ルートに接続した。8時間後、患者から左前腕の痛みの訴えがあり、発赤、膨張、熱感を認めた。15年の「医療安全情報No.101」では、医療機関の再発防止策として「液体の内服薬を準備する際は、カテーテルチップ型シリンジを使用する」「薬剤の準備時・投与直前に6Rを確認する」と注意喚起している。なお6Rとは、正しい患者(Right Patient)、正しい薬剤(Right Drug)、正しい目的(Right Purpose)、 正しい用量(Right Dose)、正しい用法(Right Route)、正しい時間(Right Time)を指す。