心停止に対しては通常,胸骨圧迫と人工呼吸の心肺蘇生法と,除細動が有効なリズムであればAED(自動体外式除細動器)が使用される。それでも心拍再開が困難な症例に対しては,人工心肺装置を装着して循環サポートをしながら,原因検索として心臓カテーテル検査を行い,心筋梗塞等があれば治療する,新しい積極的な心肺蘇生法が注目されている。
院外心停止の初期波形が心室細動や無脈性心室頻拍など,心原性が疑われる症例に人工心肺装置(経皮的心肺補助装置:PCPS)を使用した多施設共同研究SAVE-Jがわが国で行われ,その有効性が証明された1)。ただし,この心肺蘇生法はどの施設でも行えるわけではない点と,適応症例を院外心停止のうち目撃のある心原性を疑うものに限定している点,心臓カテーテル検査や冠動脈インターベンション(PCI),さらに術後集中治療管理が可能なメディカルスタッフが必要である点が重要である。
体外循環式心肺蘇生法(ECPR)に使用する人工心肺装置を装着するには送脱血用の太いカテーテルの挿入が必要であり,その手技は熟練を要する。心拍再開後も遷延する意識障害があれば脳保護目的の体温管理療法を併用することが,神経学的予後を改善させる。院外心停止に遭遇した場合,質の高い胸骨圧迫による心肺蘇生をしつつ,適切な施設に早期救急搬送することが救命につながる2)。
【文献】
1) Sakamoto T, et al:Resuscitation. 2014;85(6): 762-8.
2) 日本蘇生協議会, 監:JRC蘇生ガイドライン2015. 医学書院, 2016.
【解説】
牛越博昭 岐阜大学医学部附属病院 高次救命治療センター准教授