3月に閣議決定された第3期のがん対策推進基本計画で重要課題となっているがんゲノム医療。その実装化へ向け、国立がん研究センターは6月、がんゲノム医療の新たな情報拠点として「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」を開設した。同センター長に就任した間野博行氏に話を聞いた。
発足の目的は、大きく2つあります。1つは、がんゲノム医療の質の担保と向上です。
来春を目途に、日本で、一人一人の患者さんのがんの遺伝子異常に合わせて最適な治療薬を選ぶがんゲノム医療が保険診療で行われるようになる見通しです。今年2月には、全国11カ所のがんゲノム医療中核拠点病院が指定されました。各病院では、先進医療や臨床研究で、次世代シークエンサーを用いて、一度に百〜数百個の遺伝子異常を調べる遺伝子パネル検査を始めています。
C-CATでは、来春までに国内のがんの治験情報など、がんゲノム医療に必要な知識データベース(CKDB)を構築し、「がんゲノム検査CKDBレポート」を作成して、ゲノム拠点病院などへ提供する予定です。どのゲノム拠点病院で遺伝子パネル検査を受けても、患者さんが受け取る臨床試験の情報は一定の質が担保されるようにしたいと考えています。
もう1つ、C-CATの重要な役割は、新薬やバイオマーカーの開発や臨床研究を促進することです。まずは、ゲノム拠点病院からがんゲノム医療の情報を集約・保管し、マスターデータベース「がんゲノム情報レポジトリー」を開発・構築します。全国の患者のがんゲノム情報を集約している国は他に例がありません。膨大ながんゲノム情報を集約化することで、国際共同治験を含め、わが国で行われるがんの治験が増えてくれたらと期待しています。