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痙攣[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(11)]

No.4707 (2014年07月12日発行) P.45

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

末松篤樹 (名古屋第二赤十字病院総合内科)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • 病 歴

    60歳,男性。主訴は痙攣。日中は特に変わりなく過ごしていた。深夜0時頃にテレビを見ていたが,妻がふと見ると視線が合わず両上肢を突っ張っており,呼びかけにも返事がなかった。数分後,急に起きて洗面所で排尿した。妻が救急要請し,救急外来へ搬送された。救急隊到着時は,閉眼しているものの,返事は可能であった。

    スナップ診断

    上記の情報のみではスナップ診断は難しいが,頻度から脳血管障害,頭部外傷がまず考慮される。てんかんも疑われる。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    まず,痙攣,失神,痙攣を伴わない意識障害,のどれであるかを見きわめる(図1)。本症例は両上肢を突っ張っていたときに昏睡状態となっており,その後,意識障害が遷延していることから,痙攣+痙攣後の意識障害(postictal state)と考えられる。失神は意識障害が遷延していることが合わない。
    これらの鑑別診断の可能性を上げたり下げたりする病歴をまず確認したい。過去における同様のエピソード(てんかん,低血糖),構音障害や四肢麻痺・しびれ(脳血管障害,頭部外傷),転倒歴(頭部外傷),糖尿病(低血糖,高血糖),COPDや慢性心不全(低酸素血症),精神疾患(水中毒による低Na血症),肝硬変(肝性脳症),慢性腎障害や透析(尿毒症),覚醒剤や抗うつ薬・抗精神病薬の内服歴(薬物中毒),飲酒歴(アルコール離脱症候群),睡眠薬の内服歴(ベンゾジアゼピン離脱症候群),甲状腺疾患(甲状腺クリーゼ),先行する発熱や頭痛(髄膜炎,脳炎)の有無を確認する。

    私のクリニカルパール

    痙攣発作後は意識回復が遅いことが多く(5分以上),意識障害が数時間持続することもある(postictal state)。

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