厚生労働省の免疫アレルギー疾患研究戦略検討会(山本一彦座長)は9月28日、免疫アレルギー分野では初となる「研究10カ年戦略」の案を大筋で了承した。10カ年戦略では、①本態解明、②社会の構築、③ライフステージ等で異なる疾患特性―の3つに注目した研究の推進を柱に据える。今後10年間で、発症予防・重症化予防や患者の疾患活動性の「見える化」を通じてQOL改善につなげ、アナフィラキシー等による「防ぎうる死」の根絶を目指すほか、先制的治療の実現に向けた医薬品・医療機器の開発なども進める。
同省は年内にも都道府県、関連学会等に通知を発出し、来春にも戦略に基づく取り組みを開始する予定。
アレルギー疾患対策基本法(2015年施行)では、対象疾患を、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーの6疾患としている。10カ年戦略ではこの6疾患を中心に、薬剤アレルギー、関節リウマチや皮膚・粘膜臓器の異常に起因する疾患など、何らかの免疫反応が関与する疾患を対象とする。
アレルギー疾患を巡っては、基本法に基づき、今年度から全国で拠点病院の指定が進められており、医療提供体制が整備されつつある。研究基盤の充実を目的とした10カ年戦略の策定により、包括的対策を進める上で必要な診療と研究の両輪が揃うこととなる。
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