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神経内視鏡手術の進歩

No.4930 (2018年10月20日発行) P.54

鰐渕昌彦 (札幌医科大学脳神経外科准教授)

登録日: 2018-10-20

最終更新日: 2021-01-07

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【技術・画質・道具の進化により,開頭が必要であった疾患も開頭せず治療可能になりつつある】

下垂体腫瘍に対する経蝶形骨洞手術は,顕微鏡に代わり内視鏡を用いて行われるものが主流となってきた。内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術は,直径4mmの硬性内視鏡を使用するもので,「神経内視鏡手術」とも呼ばれる。

顕微鏡手術と内視鏡手術には多くの違いがあるが,最大の相違点はhand-eye coordinationである。内視鏡では手術をしている部分しか見えず,鼻腔内には様々な隆起があるため,術者が思った通りに道具を動かすには訓練と経験が必要である。日本神経内視鏡学会では2006年より技術認定制度を設けており,技術認定医取得には,学会認定講習会での技術訓練受講や,一定の手術経験数が必須要件となっている。

また,神経内視鏡ではモニターを見ながらの手術となることも,顕微鏡手術との相違である。光学系技術の発達は目覚ましく,現在の主流であるhigh vision画質から,徐々に4K画質の神経内視鏡も導入されはじめており,立体視のものも実用化されてきている。さらに,鼻腔は操作範囲が限られるため,手術器具はmonoshaftで様々な機能のものが開発されてきている。

このように,神経内視鏡を用いた経鼻手術では,技術の進歩,画質の向上,道具の開発により,安全性を担保しつつ,従来は開頭が必要であった疾患も治療可能となってきている。今後も神経内視鏡手術は発展していくと予想される。

【解説】

鰐渕昌彦 札幌医科大学脳神経外科准教授

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