1 一般向けにわかりやすく心不全を定義
2 心不全の経過とその発症・進展における予防の重要性を強調
3 心不全診断アルゴリズムを明確化
4 心不全治療アルゴリズムはHFrEFとHFpEFに分類し提示
「慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)」と「急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)」が一本化され,日本循環器学会と日本心不全学会の合同で「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」1)として改訂された。主な改訂点は,①心不全の定義,②心不全とそのリスクの進展ステージと治療目標,③左室駆出率による分類,④心不全診断アルゴリズム,⑤心不全進展ステージをふまえた心不全予防,⑥心不全治療アルゴリズム,⑦併存症の病態と治療,⑧急性心不全治療フローチャート,⑨重症心不全における補助人工心臓治療アルゴリズム,⑩緩和ケア,などである。
心不全に対する一般市民の認知度は上がっているものの,その病態が正しく認識されているとは言えないという現状をふまえ,一般向けの定義を,その経過も含めて表現した。
◯実臨床での対応
「心不全」を「何らかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義した。一般向けには「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気です」と表現した。
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