超高齢社会の日本では,認知症が身近な疾患としてよくみられるようになった。ただし,「認知症=(すべて)アルツハイマー病」ではない。様々な原因の可能性があるので,病歴と身体診察を中心に注意深く鑑別を行う必要がある。では,今回の症例をみてみよう。
認知症を起こす原因で最も多いのはアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)である。しかし,ほかにも多くの原因により認知症,すなわち認知機能低下をきたす。高齢者では特に表1の「3D」に要注意である。これらは,Delirium・Depression・Dementiaの頭文字をまとめて示したもので,認知機能低下様の症状をきたす。
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