日本医師会と日本医学会は30日、中国の南方科技大の賀建奎副教授がHIVへの感染を抑止するために、ゲノム編集技術を用いた受精胚を使い、双子の女児を誕生させたとの報道を受けて合同で声明を発表した。「人の尊厳を無視し、生命を軽視するものであり、国際的な倫理規範から見ても常軌を逸している」などと強く批判し、同様の非倫理的行為を行うことのないよう、ヒトゲノム編集の関係者に要請した。
声明では、「実際に誕生したのか、その真偽は不明」としながらも、この問題に関して重大な懸念を表明。「産まれてきた女児らの身体的、精神的、社会的な安寧を踏み躙るもの」「人類という種に対する影響も極めて不透明であり、無責任極まりない行為」と指弾した。
さらに、「HIVに関しては、他にも感染を防ぐ方法があることから、医学的必要性や妥当性はない」と指摘し、技術的に確立していないゲノム編集をヒト受精胚に適用することは、医学的・技術的な安全面から大きな問題があると強調した。
その上で、「このような非倫理的行為が今後二度と行われることのないよう、より一層注視していく」としている。