東北大東北メディカル・メガバンク機構などは2月25日、日本人の全ゲノム解析を行う際の雛形となる「日本人基準ゲノム配列」の初版(JG1)を同機構のウェブサイトで公開した。JG1は、出身地域の異なる3人の日本人男性のゲノムを複数の手法を用いて統合して作成したもの。国際基準ゲノム配列を参照して日本人のゲノム解析を行う場合に生じる「民族集団差」の問題を解決し、従来よりも高精度な解析と診断が期待できるという。
ゲノム医療におけるゲノム解析では、調べたい個人のゲノム配列を「雛形」となる基準ゲノム配列と比較し、変異を検出する方法が主流となっている。雛形には「国際ヒトゲノム解読計画」で決定された配列が一般的に用いられてきた。しかし、配列の70%以上が1人のアフリカ系アメリカ人に由来しており、日本人のゲノム解析に用いた場合に民族集団差を考慮できず、変異の誤検出や解析困難な領域が生じるなどの問題点が指摘されていた。
同機構では、JG1を国際基準ゲノム配列の代わりに雛形として利用することで、希少疾患の原因究明やがんゲノム解析の向上、日本人特有の疾患感受性の解明などが大きく進展する可能性があるとしている。