東京医大は12月29日、不正入試問題を受けて設置した第三者委員会の最終報告書を公表した。男性・現役生を優遇する「属性調整」が2006年度入試から開始されたと認定し、その背景には、経営上の都合が関係していると判断した。
委員会の調査によると、多くの関係者が、大学病院を適正に運営するために「進級や医師国家試験の通過率が低い(と考えられていた)多浪生や、医局に勤務した後に結婚や出産による離職率が男性に比べて高い女性の入学者を、できる限り少なく抑える必要があるとの認識を有していた」という。報告書では、「属性調整の主たる責任は歴代の学長にある」と批判した。
特定の受験生を優遇する「個別調整」については、2006年度以前から行われていた可能性が高いとした。東京地検で閲覧謄写した関係資料の中には、学長に対して「もし入学を許されましたら育てて頂く大学のために寄付は、3000万円は用意するつもりでおります」と記載された手紙や、学長が受験生氏名の隣に「1000」「2000」「2500」等と記載したメモが存在することなどを明かし、個別調整と東京医大への寄付金、謝礼との間には「何らかの関連性があった可能性がある」と指摘した。このほか、政治家から受験生に関する依頼があったことや、小論文問題が受験生に漏洩した可能性にも触れた。
その上で、公正な入試を永続的に行うためには「男性・現役生を優遇する思想や特定の受験生を優遇することを許容する土壌から決別し、大学としての体質を根本的に改善していく努力が必要かつ不可欠」と強調した。
報告書によると、2013~18年度の6年間で属性調整や個別調整などの問題行為により不合格になった可能性がある受験生は計178名に上る。