【今後,より高齢な患者に対しても治療適応の拡大が予想される】
心房細動の根治治療であるアブレーションは,1988年に肺静脈隔離術が報告されて以降,世界中に広まり,既に治療選択肢として確立している。発作性心房細動において,アブレーション施行後,約80%が洞調律を維持できる1)。
近年,3次元マッピングシステムの導入,新たなバルーンアブレーション(クライオバルーンやホットバルーン)の登場により,治療成績は向上し,手術時間が短縮してきている。これまでアブレーションによる生命予後改善効果は示されてこなかったが,心不全合併例では,死亡・入院リスクを軽減させることが報告された2)。高齢者におけるアブレーション成績は,洞調律維持率・合併症に差はないとされるが,術後に抗不整脈薬や抗血栓療法を中止できない症例が多い3)。
アブレーションの侵襲度の軽減,成功率上昇に伴い,今後,より高齢な患者に対しても治療適応の拡大が予想される。適応決定に際して,高齢者では,併存症・フレイルを含む高齢者総合機能評価を実施し,適切なリスク管理と総合的なマネージメントが求められる。
【文献】
1) Ouyang F, et al:Circulation. 2010;122(23): 2368-77.
2) Marrouche NF, et al:N Engl J Med. 2018;378 (5):417-27.
3) Santangeli P, et al:J Cardiovasc Electrophysiol. 2012;23(7):687-93.
【解説】
植田寿里 東北大学加齢医学研究所老年医学