一般医薬品の中で自動車運転に影響を与えるもののひとつに,鎮静性抗ヒスタミン薬がある。鎮静作用には主観的側面(眠気)と客観的側面(認知機能障害/インペアード・パフォーマンス)がある。眠気の自覚がなくても運転能力が低下している場合もあるので注意を要する
Over the counter(OTC)薬として処方箋なしで入手できる抗ヒスタミン薬には鎮静性薬が多いが,一部の非鎮静性・軽度鎮静性抗ヒスタミン薬も入手可能である。総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン薬も鎮静性抗ヒスタミン薬が多いので,使用者への啓発が特に重要である
服薬指導や医療相談は,まずは添付文書の内容に準拠して実施することが大切である。また,鎮静作用が弱いはずの薬でも一部の使用者に鎮静作用が発現することもありうるので,安全性を考慮し念のための注意喚起を促しておくことも重要である
抗ヒスタミン薬には,一般用のover the counter(OTC)医薬品として処方箋なしでも店頭購入できるものが多い。そうしたOTC抗ヒスタミン薬の多くは鎮静性抗ヒスタミン薬であるが,非鎮静性や軽度鎮静性のものもある。したがって,自動車等を運転する人が服用する際には,その鎮静作用の強さと運転に関する注意喚起の内容を添付文書で確認してから購入することが重要である。加えて,総合感冒薬にも鎮静性抗ヒスタミン薬が含まれている事実にも注意を払うべきである。
そもそも鎮静性抗ヒスタミン薬の副作用には,「眠気」という主観的な側面と,薬剤による一過性の脳機能障害のような客観的側面がある。脳機能障害は,認知・判断・実行レベルなど多階層での機能障害が想定されているが,運転や認知機能試験などの最終的な作業成績(パフォーマンス)として評価されることが多い。薬剤の影響でパフォーマンスが悪化することを,「インペアード・パフォーマンス(impaired performance)」(または,「気づきにくい能力低下」)と呼ぶ。
臨床の場では,主観的眠気をほとんど感じていないのにパフォーマンスが低下している事例が存在することが知られている。したがって,運転してよいかどうかを主観的眠気の有無だけで判断すると,無自覚のまま事故を起こすリスクを高めることになってしまう。