経済協力開発機構(OECD)は6日、日本の保健医療政策を調査・分析した報告書を公表した。2016年の平均寿命が84.1歳と加盟国中最も長く、肥満率も加盟国中最低に位置するなど、日本の健康長寿を高く評価する一方で、二次予防を目的として実施される健康診断と検診については、費用対効果などの観点から合理化の余地があるとしている。
報告書では、現在の日本において健康リスクを有する人の割合は他の加盟国と比べて「低い」としつつ、人口の高齢化によって健康問題が今後悪化する恐れがあると指摘。受動喫煙率の高さや女性におけるアルコール摂取量の増加などを例示した上で、屋内禁煙の拡大や酒類の販売規制の強化などの一次予防の施策を提言している。
二次予防として実施される各種の健康診断と検診については、「加盟国中で最も広範なスクリーニングが実施されている」とした上で、「全ての検査が疾病の軽減や医療費削減に寄与しているかどうかは不明であり、重複検査や過剰診断、X線などへの不要な曝露によるリスクも無視できない」とし、健診・検診の範囲の再検討を促している。
OECD雇用社会問題局のフランチェスカ・コロンボ医療課長は、6日に厚生労働省内で開かれたイベントで、日本の健診・検診について「数が多すぎる。どの検診が集団の健康に寄与するのか明らかにし、費用対効果に基づき優先順位づけをしてはどうか」と提案した。がん検診についても「大規模に実施されており、がん死亡率は低い値を示している」と評価しながら、受診率の低さと国レベルの標準的な検診プログラムがない点を問題視した。