眼科臨床の傍ら、民事の医療訴訟をウォッチし続ける。全国の裁判所で傍聴、記録閲覧を8年間行ってきた。現在は大学院で医療訴訟を研究。東京地裁には週4日通う。
机上の論理や杜撰な審理による過失判断など、医療者から見て不当だと感じる判決を自身のブログで検証。その批評は法律家も注目する。現在は国内の学会のみならず国際学会で医療訴訟について講演する機会も増えた。
医療訴訟に関心を持つきっかけは、2006年に産科医が業務上過失致死罪で逮捕された福島県立大野病院事件(後に無罪確定)。これに驚きと怒りを感じ、弁護士が開設していたブログで議論に参加するようになった。「そこでは法律家から、『医療側が負けるのは、原告側に協力する医者がいるから』という意見が出ていたのですが、本当にそうなのだろうかと疑問を抱きました」。医療訴訟を報じるニュースは原告側に偏っているため、一次情報に当たろうと傍聴や裁判記録の閲覧を始めた。すると、原告側の意見を支持する医師の証言や文献がなくても、裁判官の心証によって原告側が勝訴した事件に遭遇。「『医療訴訟は医師対医師の争い』とは言い切れないと思い、さらに調べるようになりました」
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