患者に最先端で最適ながん医療を提供すると同時に、併設の先端医療開発センター(EPOC)を中心に日本発のがん治療・検査薬、医療機器の開発を目指す国立がん研究センター東病院。その院長として、「医師だけではなく、医療者全体が主体性を持って新しい医療を創って行く組織」を牽引する。
自身は、患者数が10万人に1~2人と、消化管に発生するまれな肉腫であるGISTの専門医として国内外で知られる。「もともとは、消化管や心臓の手術後に機能が低下する腸管のぜん動運動の研究をしており、腫瘍は専門ではありませんでした」と話す西田さん。
転機は1997年。同僚だった廣田誠一兵庫医大教授と共に、消化管の運動に関わるカハール介在細胞を解析し、GIST発生の原因となるc-kit遺伝子の変異を発見した。c-kitに変異のあるGIST患者の中には、当時、慢性骨髄性白血病の治療薬として臨床試験が進んでいた分子標的薬グリベックが劇的に効く人がいることが分かり、希少がんとしては異例の早さで治療薬開発が進むきっかけとなった。
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