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■NEWS 医師法21条の解釈通知―医法協・小田原氏「医療現場が大混乱する」

No.4948 (2019年02月23日発行) P.20

登録日: 2019-02-18

最終更新日: 2019-02-18

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厚生労働省が8日付けで発出した医師法21条に関する医事課長通知について、疑問の声が上がっている。日本医療法人協会常務理事で、医療事故調査制度の創設に関わった小田原良治氏は、「最高裁の判断を一課長がひっくり返した、医療現場が大混乱する通知」と問題視する。

小田原良治氏の話

これは大変な問題がある通知だ。都立広尾病院事件の最高裁判決(2004年)では、医師法21条の「検案」について「医師が死因等を判定するために外表を検査すること」との判断を示した。この判断を踏まえ、2012年、医療事故調査制度創設の議論をしていた厚生労働省の検討会で当時の医事課長が医師法21条について「死体の外表を見て、異状がある場合に警察署に届け出るということ」と整理している。さらに、医師法21条の趣旨について厚労省は12年に「死体又は死産児については、殺人、傷害致死、死体損壊、堕胎等の犯罪の痕跡を止めている場合があるので、司法警察上の便宜のためにそれらの異状を発見した場合の届出義務を規定したものである。したがって、『異状』とは病理学的の異状ではなくて法医学的のそれを意味するものと解される」と示している。これら最高裁判決、医事課長発言、21条の立法趣旨は、14年に当時の田村憲久厚労相が国会でも紹介している。今回の通知は、そうした経緯を理解していないのではないか。最高裁の判断を一課長がひっくり返しているようなものだ。

問題はそれだけではない。通知は「異状死体」と「異状死」を混同している。「死」と「死体」は別物であり、21条は経過の異状を届ける規定ではない。さらに、21条は犯罪の痕跡をとどめている場合に届け出る規定なのに、前書きで熱中症を例示しているのは矛盾している。先日、講演会で「外表に異状がなくても虐待による死亡が疑われる場合には、警察に届け出る必要があるのではないか」との質問が出たが、その場合は医師法21条に該当しなくても、医師の矜持として、警察に連絡すればよいこと。臨床医の仕事は犯罪捜査ではない。医師法違反には罰則規定があり、行政処分の対象にもなる。医師のライセンスに関わる重要な法律なので、その規定は最低限の義務に留めるべきだ。しかしこの通知は、解釈次第で届出の範囲はべらぼうに広くなってしまう。医療現場が大混乱する、とんでもない通知だ。

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