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地域に根差す血液医療

No.4950 (2019年03月09日発行) P.54

増岡和宏 (三宿病院血液内科部長)

登録日: 2019-03-06

最終更新日: 2019-03-05

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【医療の偏在の改善には医師の社会的・医学的スキルの向上が必要】

全国の血液専門医数は4000名にも満たない(2017年12月現在)。循環器科や消化器科は都内だけでも,その専門医数が3000名を超えることを考えると,顕著に少ない。患者は全国津々浦々に存在するのに対して,医師は大都市・大病院に集まる傾向があるため,専門医が存在しない地域すらある。年々,造血器疾患は増える一方であるが,それに対応できるほど医師の数は増えていない。移植治療や強固な化学療法などでは,24時間常に患者の容態を把握しておく必要があり,スタッフの多い市中病院でさえも,不眠不休で働いている状態が今も続いている。

当院では9年前に血液内科を開設し,医師1名により,入院・外来診療を開始した。これはめずらしいことではなく,地方には似たような状況にある病院がいくつもある。常勤医が1名であるため,できることは限られるが,他の診療科と異なり輸血や抗癌剤の対応が多く,かつ急な容態変化に対して24時間の対応が求められる。医師も人であり,体調を崩すこともあれば精神的に不安定になることもある。常日頃より患者やスタッフとコミュニケーションをとり,人としてのスキルを磨く必要がある。お互いの信頼を築き,病気が治ることへの喜びをわかち合うことこそが,診療への原動力となるのである。

2018年の改正医療法では,医師少数地域で勤務する医師を認定する制度が盛り込まれた。医師の偏在という問題もあるが,それ以前に地域に根差した医師の社会的かつ医学的スキルを上げなければ,医療の偏在は改善されない。

【解説】

増岡和宏 三宿病院血液内科部長

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