(山梨県 K)
【天日干しにデメリットはないが,掃除機掛けのほうが重要】
ダニアレルギー対策の視点からすると,最も重要なのは寝具の掃除機掛けです。一般に1m2に対して20秒以上かけてゆっくり吸引するのが良いとされています。寝具の天日干しで寝具の湿気を抑えることはできますので,天日干しにはある程度メリットがあると言えます。しかし,それには,ダニを死滅させるほどの効果はありません。また,アレルゲンとなるのはダニの死骸や排泄物ですので,ダニを死滅させるだけでもアレルゲン対策としては不十分です。したがって,寝具のダニアレルゲン対策としては,布団カバーは週に1回以上丸洗いし,布団は週に1回以上天日干しした後,布団表面の掃除機掛けを行う,というのが基本となります1)。
ダニアレルギー対策として,布団の天日干しには特にデメリットはありません。しかし,干したときに布団たたきなどを行い,その後に掃除機掛けをしなかった場合は,ダニアレルゲンが舞い上がりやすくなり,むしろ逆効果であると言われています。
一方,ダニアレルギーではなく,重度の花粉アレルギーがある患者の場合は,原因花粉が多い日に布団の天日干しを行うと,布団に花粉が付着して花粉症が悪化する可能性があるので,避けたほうがよいとされています2)。指導の対象となる患者が,ダニアレルギーが強いのか,花粉アレルギーが強いのか,なども考慮しながら,ご指導頂くとよいと思います。
【文献】
1) 谷口正実, 他, 監:吸入性アレルゲンの同定と対策. メディカルレビュー社, 2014.
2) 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会, 編:鼻アレルギー診療ガイドライン─通年性鼻炎と花粉症─2016年版(改訂第8版). ライフ・サイエンス, 2015.
【回答者】
福冨友馬 国立病院機構相模原病院臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室室長