【質問者】
飯田知弘 東京女子医科大学眼科教授
【眼所見,臨床経過,ぶどう膜炎の治療薬に対する反応を見きわめ,可能性を疑う】
眼内リンパ腫の多くは中枢神経系リンパ腫を併発し,ひとたび中枢神経に病変を生じると,その治療あるいは副作用への対応に難渋することが多く,生命予後不良となる可能性のある疾患です。一方,眼内リンパ腫はその臨床所見がぶどう膜炎と酷似していることから診断が難しく,適切な治療が開始されるまでに非常に長い時間を要することが多いという,好ましくない現実があります。
眼内リンパ腫の診断における最大のポイントは,眼所見と臨床経過とともに,ステロイドなどのぶどう膜炎に対する一般的な治療薬への反応を見きわめ,本症の可能性を疑ってみる,この一点に尽きます。わが国で行われた多施設調査の結果によれば,眼内リンパ腫の発症時の年齢は平均64歳と,一般的な非感染性ぶどう膜炎よりも高齢であることも参考になります。
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