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■NEWS 医師法21条通知で厚労省がQ&A発出―「届出義務の範囲を拡大するものではない」

No.4960 (2019年05月18日発行) P.68

登録日: 2019-05-08

最終更新日: 2019-05-08

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厚労省が28日付で発出した医事課長通知「医師による異状死体の届出の徹底について」に対して医師から懸念が出ていた問題で、厚生労働省は424日付で、同通知に関するQAを事務連絡として発出した。医師法21条の届出義務の範囲を拡大するものではなく、同条に関する厚労省の解釈も従来と変わらないとの見解を明記している。

2月8日付の医事課長通知は医師法21条に関する解釈を提示。ここでは「医師が死体を検案するに当たっては、死体外表面に異常所見を認めない場合であっても、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情を考慮し、異状を認める場合には、医師法第21条に基づき、所轄警察署に届け出ること」と記載していた。これに対し医療界から、これまでの厚労省の解釈との整合性に関して疑問の声が上がり、3月には医政局長が従来の厚労省の解釈と同趣旨であると国会で釈明する事態となっていた。

2004年の最高裁判決を変更するものではない

Q&Aでは、通知の趣旨について「医師が検案して異状を認めるか否かを判断する際に考慮すべき事項を示したものであり、医師法第21条の届出を義務付ける範囲を新たに拡大するものではない」と強調。

また、最高裁が2004年に医師法21条の「検案」について「医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること」との判断を示していることについても触れ、「判決で示された内容を変更するものではない」と説明。その上で「死体の外表の検査のほかに、新たに『死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情』を積極的に自ら把握することを含ませようとしたものではない」として理解を求めた。

さらに、「医療事故等の事案についての届出についても、従来どおり、死体を検案した医師が個々の状況に応じて個別に判断して異状があると認めるときに届出義務が発生することに変わりない」と重ねて強調している。

2019年度死亡診断書記入マニュアルにQAを記載

Q&A発出を踏まえ、厚労省は424日付で、2019年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルを改訂した。今回のQAを参考資料として掲載している。

■医師法第21条

医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

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