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頸動脈エコー検査で動脈硬化の予防・進行抑制につなげたい[クリニックアップグレード計画 〈医療機器編〉(4)]

No.4964 (2019年06月15日発行) P.14

登録日: 2019-06-17

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様々な生活習慣病対策が打ち出されているにもかかわらず、心疾患や脳血管疾患など動脈硬化性疾患による日本人の死亡は依然として多い。シリーズ第4回は、動脈硬化の予防や早期診断、進行抑制を重要な医療課題の1つとして捉え、頸動脈エコー検査で動脈硬化の進行度を測定し、的確な治療につなげているクリニックの事例を紹介。生活習慣病を多く診るクリニックにおける頸動脈エコー検査導入の有用性について考える。

 

高脂血症や高血圧、糖尿病といった生活習慣病は動脈硬化を進める要因となり、脳血管障害(CVD)や冠動脈疾患(CAD)、慢性腎臓病(CKD)、閉塞性動脈硬化症(ASO)などの動脈硬化性疾患のリスクを高める。生活習慣病のコントロールにおいては、動脈硬化の進行を抑制することがポイントとなる。

動脈硬化は、内皮機能検査やCAVIなど動脈の硬さをみる検査と、内中膜複合体厚やプラーク・石灰化の有無、狭窄など動脈壁の状態を観察する超音波検査で評価される。中でも検査機器の進化により動脈硬化を評価する手法として注目度が高まっているのが頸動脈エコー検査だ。

北海道小樽市にある小野内科医院では、生活習慣病患者の初診時には必ず頸動脈エコー検査を実施、インティマスコープによる解析も行っている。

「総頸動脈は体表から浅い位置に存在し比較的真っ直ぐに走行しているため、観察が容易で早期の動脈硬化の評価に適しています。動脈硬化の進行度を低侵襲かつリアルタイムで調べることができる頸動脈エコー検査は、治療方針の決定や治療効果の測定に非常に有用なツールと感じています」(小野晃裕理事長)

クリニック向けの機能が凝縮したエコー

超音波検査機器は、ニーズの高まりにつれ近年開発競争が激化し、ハイスペック化が著しい。各メーカーは独自技術を搭載するなど鎬を削っている。その中で小野さんが「クリニックでも使いやすくて高機能」と評価するのが、GEヘルスケア・ジャパンが5月に発売した「Versana Premier」(http://gecommunity.on.arena.ne.jp/versana/index.html)だ。Versanaは開業医向けに、生活習慣病患者を迅速かつ的確に診察できるよう、腹部から心臓・血管など幅広い検査をサポートするために開発された新ブランドとなる。

Versana Premierの機能的な主な特徴は、①総合病院検査室レベルの画質と機能、②自動最適化機能「Whizz」、③GE独自の血流表示機能、④超音波検査アシスタント機能―の4つだ。

画像(写真①)については、総合病院で使用される標準スペックである128の送受信チャンネル、同時4音声受信技術、上位機種と同じ21.5 Full HDモニターを採用し、高画質と高フレームレートが忠実に表現されている。「頸動脈エコー検査ではIMT(内中膜複合体厚)の測定で高解像度が必要になりますが、デフォルトの状態で十分鮮明な画質を得られます。画像をRAWデータで保存できるため、検査後に画像の調整や計測も可能で、忙しいクリニックでも使いやすいエコーだと思います」(小野さん)

新技術として搭載されたのが自動画像最適化機能「Whizz」。写真②は最適化前後の画像だ。スキャンの条件に合わせて継続的に画像を自動で最適化し、エコーの通りやすさや追従性の調整もできる。生活習慣病患者の場合、体型や臓器が大きく深部は見えづらいケースが多いが、手作業による調整や操作が不要で、クリアな画像がすぐに描出される画期的な機能と言える。

血流診断が可能なGE独自のBモード

小野さんがGEのエコーを高く評価するのは、使いやすく有用なアプリケーションが多数搭載されているところだ。特に血流動態表示機能であるB-flow(写真③)は、従来のカラードプラと異なる血流を表示するGE独自の技術で、まるで造影剤を使用したかのように血流が描出される。カラードプラとは異なり角度依存性がなく読影がしやすい。

「この機能がクリニック向けのエコーに搭載されているのは嬉しいことです。頸動脈のような表在の血流診断で威力を発揮すると思います」(小野さん)

このほか超音波アシスタント機能があり、観察したいスキャン方法をわかりやすくアニメーションで解説してくれる。お手本となる正常画像も表示できるため、インフォームドコンセントにも効果的で、医師と患者双方にメリットがある。

頸動脈エコー検査の対象患者は多い

エコーの導入は進んでいるが、頸動脈エコー検査を実施しているクリニックはまだ多くはない。小野さんは、生活習慣病の患者が多い地域の開業医が頸動脈エコー検査に取り組む意義は大きいと強調する。

「一般内科には動脈硬化の診断が対象となる患者さんが多数存在しているはずです。動脈硬化が一定水準を超えていれば冠動脈CTを実施してもらうよう病院に紹介しますが、かなりの確率で高度の狭窄が見つかっており、重篤な疾患の予防につながっていると実感しています。頸動脈エコー検査にハードルを感じる先生もいらっしゃるかもしれませんが、高機能で扱いやすいエコーが登場しています。まずはIMT、特にmaxIMTの測定は簡単なので、一人でも多くの先生に頸動脈エコー検査に取り組んでほしいと思います」

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