慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は「たばこ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患であり,呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に関与し起こる。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示すが,これらの症状に乏しいこともある」と定義される1)。
わが国には560万人の患者がいるとされるが,医療機関に通院中の患者は25万人(5%)しかいないとされる2)。40歳以上で,日本人は特に喫煙に関連して発症することが多く,現あるいは既喫煙者で慢性的な咳嗽,喀痰および労作時呼吸困難を訴える場合には本症を強く疑い,積極的にスパイロメトリーを中心とした検査を行う。気管支拡張薬使用後の1秒率70%未満の気流閉塞を認めた場合には治療介入を行う。
重症度を臨床症状,検査所見や過去の増悪や入院歴から総合的に判定する。重症度の判定後に管理目標である「現症状」の①QOL改善および②運動耐容能と身体活動の向上,「将来リスク」の③増悪抑制および④肺合併症と全身併存症の予防を加味して治療選択を行う1)。
安定期と増悪期では治療選択が異なる。安定期薬物療法では長時間作用性抗コリン薬(LAMA)やβ刺激薬(LABA)などの気管支拡張薬を用いる。進行例にはLAMAとLABAを併用する。ただし,喘息様病態の合併が疑われるときには吸入ステロイド(ICS)を追加する1)3)。増悪期治療では,意識障害や多臓器不全を認めた場合にはICU管理が望ましい1)。酸素および補助換気療法を考慮する1)。次に,薬物療法ではABCアプローチを行う。A:抗菌薬,B:気管支拡張薬,C:コルチコステロイド(全身性ステロイド)を組み合わせる。
残り1,748文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する