著者: | 長尾大志(島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター センター長/准教授) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 248頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2022年02月14日 |
ISBN: | 978-4-7849-6334-8 |
版数: | 1 |
付録: | - |
1 呼吸器基本診療「これだけは」
01 肺の解剖と呼吸生理の基礎知識
02 まずは業界用語(専門用語・略語)
03 病歴聴取(特徴的な病歴、必ず確認すべき事項)
04 診察の基本とその意味(バイタルサイン、頸部・胸部診察)
05 薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗菌薬)
06 薬剤の名称、作用、使い方、副作用(抗癌剤)
07 ステロイドとそれにまつわる薬
08 ○○を見たらこの病歴・この検査
2 胸部画像と検査
01 胸部単純X線のみかた
02 シルエットサインと肺の区域
03 疾患に典型的な画像
04 胸部CTの適応と基本的読影/肺癌診断における画像検査
05 動脈血液ガス分析・呼吸機能検査
06 呼吸器領域で知っておきたい血液検査
07 喀痰の細菌学的検査の適応と意味
3 呼吸器コモンディジーズ
01 市中肺炎の初期診断と評価
02 市中肺炎の治療
03 気管支喘息の急性期対応と長期管理
04 COPDの急性期対応と長期管理
05 酸素療法の適応と適切な使用法
06 人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸、NPPVを含む)
07 気管支鏡
4 専門的な呼吸器疾患「ここまではやろう」
01 胸腔穿刺と胸腔ドレナージの挿入
02 胸腔鏡による胸膜生検、治療
03 肺癌、胸膜腫瘍の診断、治療
04 外来化学療法、緩和ケア
05 結核、非結核性抗酸菌症、真菌感染症
06 間質性肺疾患
07 睡眠時無呼吸症候群の診断と在宅CPAP治療の適応判断
これから実習や研修で呼吸器内科をローテートする皆さん、どこでもそうだと思いますが見知らぬ領域に足を踏み出すのはとっても不安だと思います。どのくらいのことを勉強しなくてはならないのか、どのくらいのことを知っていなければならないのか、指導医の先生方は優しく教えてくれるだろうか、アホみたいなことを尋ねても怒られたりしないだろうか……?
30年近く前、同じように学生から研修医になった私も、まったく同じ悩みを持っていました。だったら勉強すればいいじゃないか、教科書を読めばいいじゃないかと上の先生はおっしゃいますが、時間は限られているし、教科書に書いてあることはなんだか難しくて最初から順を追って読む暇がない。できたら必要最小限の事柄を教えてくれるような本はないかなあ、できるだけコスパ良く実習や研修をしのぎたいなあ……と当時から思っていました。もちろんこのような悩みは呼吸器内科に限ったことではありませんが、初学者のときには特に取っ掛かりがほしいものだと思います。
時は流れて、昨今そんな医学生や研修医の皆さんを指導する立場に立ってみると、逆に「最低限これぐらいのことを知っておいてもらえるとすごく教えやすいのになぁ」とか「せっかくの限りある実習時間・研修時間をできるだけ実り多く過ごしてもらうためには、こういう知識だけ知っておいてもらったらいいのになぁ」ということが見えてまいりました。
そんな呼吸器内科のエッセンスを、30年前の迷える子羊であった自分に教えてあげよう! そんな気持ちで書いたのがこの「呼吸器内科ローテート コスパよくサバイバルする」です。タイトルはちょっとアレですが、内容は大まじめに厳選して、無駄なく必要な知識に到達できるよう工夫しております。執筆にあたり、できるだけ若い方の感覚を知りたかったので、以前滋賀医科大学にいたときに教育のお手伝いをしてくれていた松尾裕美子先生にご協力頂き、一部原稿のたたき台を作成頂きました。少しでも多くの悩んでいる皆さんのお役に立つといいなと思います。
『やさしイイシリーズ』の刊行当初からお世話になりっぱなしの日本医事新報社の皆様、今回の書籍化にもご尽力いただき本当にありがとうございます。
また、突然やってきたよそ者の私をあたたかく受け入れて下さっている島根大学の皆々様、そして学生の皆様、日々本当に感謝しております。単身赴任をして苦労をかけている妻と子ども達にも本当に感謝の意を表したいと思います。