急性気管支炎は下気道の気管支に起こる急性の炎症で,多くは急性上気道炎から気管・気管支に炎症が波及することで発症する。感染する微生物による気道上皮の障害のため,咳や痰を伴いやすい。
原因微生物の多くはウイルス性であるとされ,主なものとしてライノウイルス,コロナウイルス,インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,RSウイルス,アデノウイルスなどが挙げられる。細菌では肺炎球菌,インフルエンザ菌,非定型病原体としてマイコプラズマ,クラミジア,百日咳などが原因となりやすい1)。
急性の上気道炎症状(鼻汁,くしゃみ,鼻閉,咽頭痛,頭痛,発熱,全身倦怠感など)に引き続き,咳,痰を伴うことが多い。血液検査では,白血球やCRPなどの値は,正常か軽度の上昇にとどまることが多い(高値であれば細菌感染を疑う)。胸部X線やCTで明らかな肺炎像や腫瘍などは認めない。周囲に同様の症状の人がいるなど,流行状況を確認する2)。
原因微生物の多くはウイルスであることが多く,インフルエンザなどの特異的な治療薬がある例を除き,対症療法が中心となる。抗菌薬の不適切な使用は耐性菌の発生が懸念されるため,ハイリスクの患者(高齢者,慢性の肺疾患,心疾患,コントロール不良な糖尿病,担がん患者,ステロイドや免疫抑制薬を使用中など)や細菌感染が疑われる患者などに使用を限定する。健常者の多くは抗菌薬の投与は不要である3)。細菌による二次性感染を伴うと痰の量が増加し,性状も膿性になってくるので抗菌薬の投与を検討する1)。
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