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骨髄線維症に対する造血幹細胞移植のタイミングと前処置は?

No.4979 (2019年09月28日発行) P.58

三谷絹子 (獨協医科大学血液・腫瘍内科教授)

竹中克斗 (愛媛大学大学院医学系研究科血液・免疫・感染症内科学教授)

登録日: 2019-09-26

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  • 骨髄線維症は病期が進展すると造血幹細胞移植の適応となりますが,骨髄が線維化しているため,生着不全が心配です。高齢者が多いと思いますが,実際にはどのようなタイミングで,どのような前処置で移植が行われるのでしょうか。原発性と二次性で移植成績に差はありますか。愛媛大学・竹中克斗先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    三谷絹子 獨協医科大学血液・腫瘍内科教授


    【回答】

    【タイミングは予後予測をもとに判断。前処置は骨髄非破壊的前治療を行うことが多い】

    現時点では,同種造血幹細胞移植が骨髄線維症の唯一の治癒的治療法ですが,より進行した病期に移植を行うと予後不良です。骨髄線維症の臨床経過は均一ではなく,症例間のばらつきが大きいため,移植のタイミングの判断には,予後予測が重要です1)

    現在,最も用いられている予後予測モデルは,DIPSS-plusというモデルで,年齢,全身症状,白血球数,貧血,末梢血の芽球割合,予後不良染色体の存在,血小板減少,輸血依存がリスク因子として含まれ,患者群を予後別に4群に層別化することができます。骨髄線維症では,移植関連死亡などのリスクも高いため,臨床経過によるリスクを評価し,中間-2リスク以上となった場合,あるいは,低・中間-1リスク群でも,輸血不応,輸血依存,末梢血の芽球が2%以上,予後不良染色体やASXL1変異陽性など遺伝子変異解析による白血病への移行高リスク群,JAK2/MPL/CALR変異のいずれも認めないtriple negativeの症例では,特に若年者の場合は造血幹細胞移植を考慮します。また,赤血球輸血が増えたり,脾腫の増大,全身状態の悪化は移植後成績のリスク因子として挙げられているため,これらも移植時期の判断の参考にします2)3)

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