【質問者】
日笠 聡 兵庫医科大学血液内科講師
【他病態の可能性との相対的評価で診断。治療はカルシニューリン阻害薬の減量から開始】
TMAは,血管内皮障害により血小板血栓が生じて,阻血による臓器障害と,消費性血小板減少,微小血管性溶血性貧血を生じる病態です。vonWillebrand factor(VWF)切断酵素であるAD AMTS13の先天的・後天的著減により血管内皮から分泌されたunusually large VWF multimer(ULVWFM)の切断ができず,VWF/血小板血栓を生じるTTP(血栓性血小板減少性紫斑病)や,Shigatoxinが細胞障害を生じ,fibrinogen/fibrin/血小板血栓を生じるHUSと異なり,多くは,移植前処置,移植後の移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)予防に用いるカルシニューリン阻害薬,GVHD,ウイルス等の感染,接着因子の発現等による内皮障害が原因と考えられます。LDH,ビリルビンの上昇,血小板低下,ハプトグロビン著減,破砕赤血球の増加,血小板輸血不応,腎機能障害,下痢,血便などを生じますが,組織診で確定診断を得ることは困難な場合が多く,診断基準が確立していないため,他病態の可能性との相対的評価となります。自家移植後に生じる場合もあります。
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