再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)に対して,キメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T-cell:CAR-T)療法が保険承認されましたが,どのような症例に,どのタイミングで使用すればよいでしょうか。
また,従来治療法が限られていた高齢の再発・難治性DLBCL患者にも,CAR-T療法は可能でしょうか。
国立がん研究センター中央病院・伊豆津宏二先生にご回答をお願いします。
【質問者】
加藤光次 九州大学病院血液腫瘍心血管内科診療准教授
【従来であれば同種移植が検討された症例が主な適応となる】
CD19標的のCAR-T療法は,再発・難治性のDLBCLの患者に対する新たな治療選択肢として大きな期待が持たれています。今回,わが国で承認されたtisagenlecleucelの承認の根拠となった第Ⅱ相試験(Juliet試験)では,再発・難治性のアグレッシブB細胞リンパ腫のうち,組織型としてはDLBCL,濾胞性リンパ腫の組織学的形質転換と,いわゆるダブルヒットリンパ腫が対象でした。一方,縦隔大細胞型B細胞リンパ腫は除外されていました。また,治療歴としては2ライン以上の治療歴(リツキシマブ,アントラサイクリンを含む)があり,自家移植後の再発か,自家移植非適応であることが必要でした。同種移植後再発の患者は対象外でした。
承認後の実地診療においてもJuliet試験の対象と同様の患者がCAR-T療法の対象になると考えられます。具体的には,①自家移植後再発,②救援化学療法(2nd line)が奏効せず自家移植非適応,③高齢等の理由で自家移植非適応とされた場合の救援化学療法1st line後のfailureなどです。再発・難治性DLBCLで自家移植適応の患者では,まずは救援化学療法を行い,奏効した場合には自家移植を行うことを勧めますが,いずれかの時点で再発または治療抵抗性となった場合にCAR-T療法の適応を考えます。このため,一言で言えば,これまで同種移植が検討されたような場面がCAR- T療法の主な適応でしょう。
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