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眼科領域における遺伝子診断の現状と今後の展望は?

No.4994 (2020年01月11日発行) P.52

栗原俊英 (慶應義塾大学医学部眼科学教室特任准教授)

大石明生 (京都大学大学院医学研究科眼科学教室)

登録日: 2020-01-14

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  • 国内でもがん遺伝子パネル検査が2019年6月に保険適用となり,遺伝子診断が身近なものになりつつあります。眼科領域における遺伝子診断の現状と今後の展望について教えて下さい。京都大学・大石明生先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    栗原俊英 慶應義塾大学医学部眼科学教室特任准教授


    【回答】

    【技術面では成熟。遺伝子治療の承認を見据え規制上の対応が必要】

    現在眼科領域に関連して,保険診療で遺伝子検査ができる疾患には網膜芽細胞腫,マルファン症候群などがあり,保険収載はないものの商業ベースで外注できる検査としては,レーバー遺伝性視神経症,mitochondrial myopathy encephalopathy lactic acidosis stroke-like episode(MELAS),chronic progressive external ophthalmoplegia(CPEO)などのミトコンドリア遺伝子やクリスタリン網膜症のCYP4V2遺伝子などがあります。また先進医療として角膜ジストロフィの遺伝子解析が承認されています。

    今後の展望に関してですが,技術的な面だけをみれば遺伝性疾患の原因遺伝子でも,多因子疾患の感受性遺伝子でも,調べることはさほど難しくありません。ヒトゲノム計画ではヒト1人分のゲノム解読に13年,約3000億円を要しましたが,次世代シーケンサーの普及により今ではこれが数日,十数万円で可能となるなど,遺伝子配列決定のコストは大きく低下しています。網膜ジストロフィのように多数の原因遺伝子がある疾患で,検索する対象領域が広くなっても多少手間が増える程度で問題はありません。

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