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慢性リンパ性白血病[私の治療]

No.4994 (2020年01月11日発行) P.42

宮本敏浩 (九州大学大学院医学研究院病態修復内科准教授)

加藤光次 (九州大学大学院医学研究院病態修復内科講師)

登録日: 2020-01-10

最終更新日: 2020-01-08

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  • 慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)はCD5CD23の表面形質を有する成熟B細胞が腫瘍性に増殖し,末梢血,骨髄,リンパ節,肝臓・脾臓に浸潤する疾患である。診断は末梢血CLL細胞数≧5000/μLで決定する1)。高齢者に好発し,欧米で最多の白血病であるが,わが国での発症率は0.3/10万人と稀である。進行は緩徐であるが,染色体17p欠失やTP53異常(変異と欠失)は治療抵抗性で予後不良である。白血化を認めず,リンパ腫の臨床像を呈するものを小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma:SLL)と呼ぶが,生物学的には同一疾患である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    多くは無症状で,検診を契機にリンパ球増多を指摘され,診断に至る。症状は,発熱,盗汗,倦怠感,リンパ節腫脹,脾腫による腹部膨満感を呈する。続発性免疫不全による日和見感染症を併発することがある。

    【検査所見】

    病初期はリンパ球増加のみであるが,病気進行に伴い,貧血・血小板減少が出現する。低γグロブリン血症やM蛋白血症を呈することがある。自己抗体が産生されると,溶血性貧血や血小板減少性紫斑病の合併を認める。

    【病期分類】

    改訂Rai分類(米国)とBinet分類(欧州)がある(表)1)2)。SLLは悪性リンパ腫の病期分類に準ずる。

    【予後因子】

    平均生存期間は,低リスクは10年以上,中間リスクは8年以上,高リスクは6.5年である(表)。予後不良染色体異常として17p欠失またはTP53異常と11q(ATM)欠失がある1)2)。ほかに免疫グロブリン重鎖可変領域(immunoglobulin heavy chain gene variable region:IGHV)遺伝子超可変領域の変異なし,CD38発現,ZAP70発現などを呈する例は予後不良である1)2)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    活動性のない早期(改訂Rai分類の低・中間リスク,Binet分類A・B期)に治療を行っても生存率は改善しないため,経過観察する1)2)。B症状,リンパ節腫大・肝脾腫,6カ月以内のリンパ球数の倍増,貧血や血小板減少が出現した場合に治療を開始する。病期では,改訂Rai分類の高リスクとBinet分類のC期,および症状のある改訂Rai分類の低・中間リスクとBinet分類のA・B期が治療対象となる。

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