末梢性T細胞リンパ腫は,成熟T細胞リンパ腫の総称であり,現在のWHO分類改訂第4版(2017)では,32病型ある。成熟NK細胞リンパ腫も含まれるが,これらは治療体系は別である(「T/NK細胞リンパ腫」の稿を参照)。
リンパ節腫張や皮疹,肝脾腫,臓器障害などで発症する。診断には病変臓器の生検が必須である。可溶性IL-2レセプターが病勢に応じて上昇する例があるが,感染などの炎症でも上昇するため診断的特異性は低い。特殊な病型のT細胞リンパ腫は診断が難しいこともあるので,血液病理専門医にコンサルトすることを躊躇すべきでない。
病期診断には全身造影CT,FDG-PET/CT,骨髄検査を実施する。必要に応じて,消化管内視鏡検査や頭部・頭頸部MRI検査を併用する。
完全奏効(CR)率70%程度,長期生存率30~40%が期待できる疾患である。このため,治癒をめざした化学療法を実施する。標準治療はCHOP療法である。ドキソルビシンをピラルビシンに置換したTHP-COP療法や,エトポシドを加えたCHOEP療法の優越性を示すサブグループ解析や併合解析が存在するが,これらは探索的な二次解析である点に留意する。
初回CRに引き続いての自家造血幹細胞移植は,その優位性が証明されていない。このため,practiceとして全例に実施することは推奨されない。一方で,再発・難反応例では化学療法のみによる長期生存は望めないので,再発徴候や残存病変が認められる場合には,救援療法の上で自家造血幹細胞移植を実施する。移植後の再発や,移植実施が困難な場合は,可能であれば同種造血幹細胞移植を考慮する。
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