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慢性蕁麻疹の患者に診断目的の検査をルーチンですべきでない[Choosing Wiselyで日常診療を見直す(2)]

No.4999 (2020年02月15日発行) P.38

谷口 恭 (太融寺町谷口医院院長)

登録日: 2020-02-17

最終更新日: 2020-02-12

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    Don’t routinely do diagnostic testing in patients with chronic urticaria.
    (American Academy of Allergy, Asthma&Immunology:April 4, 2012)1)

    リスト:日本語訳

    慢性蕁麻疹の患者に診断目的の検査をルーチンですべきでない
    (米国アレルギー・喘息・免疫学学会:2012年4月4日)

    内科的疾患が原因の蕁麻疹は2%未満

    蕁麻疹には原因があり検査をすればその原因がつきとめられる,と考えている患者は非常に多いが,慢性蕁麻疹に対して検査が有用であるケースはきわめて限られている。不必要な症例に検査をすれば高い費用がかかるだけでなく,症状改善に寄与しない誤った生活習慣の変更へとつながる場合もある。

    根拠となる文献からデータを紹介したい。文献2のTarboxらの研究では2001年から09年に「慢性蕁麻疹」もしくは「血管浮腫」の診断がついた合計356人を対象としている。血算で何らかの異常が検出されたのが34%で,代謝系の異常が9.4%に認められているが,これらのほとんどが慢性蕁麻疹の診断に関連していなかった。対象者ののべ検査数は1872回で,319回(17%)の検査で数字上の異常が発見されたが,356人のうち精査が必要だったのはわずか30例(1.6%)であった2)。つまり,ほとんどの症例では診察を進めていく上で検査が不要だったのだ。

    文献3のKozelらはメタ解析を行っている。29の研究が解析され,対象は6462例である。そのうち検査により慢性蕁麻疹の原因として内科的な疾患の診断がついたのは105例(1.6%)であった。内訳は,血管炎(60例),甲状腺疾患(17例),全身性エリテマトーデス(7例),その他の結合織疾患(16例),パラプロテイン血症(3例),遺伝性血管浮腫(2例)3)であった。本メタ解析の結論としては,個別の研究の比較では差があり,少数ながらルーチンのスクリーニング検査が有用とする意見もあるものの,全体としては,重要なのは問診(history)であり,ルーチンの検査はほとんど価値がなく,問診から必要と判断されたケースにのみに検査を行うべきであるとしている。

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