眼瞼を含む眼球付属器の構成組織を理解し,どの部位に炎症の首座があるか,また,炎症がどの部位まで波及しているかを把握する必要がある。眼瞼縁炎の場合は,炎症を認める部位により,前部眼瞼縁炎(睫毛根部より皮膚側)あるいは後部眼瞼縁炎(睫毛根部より結膜側)に大別する。
自覚的には瘙痒感,異物感,充血,眼脂の有無を確認する。他覚所見としては眼瞼発赤,腫脹(びまん性か限局性か),圧痛の有無,湿疹の有無を確認する。問診では,発症が急性か慢性か,両眼性か片眼性か,有痛性か無痛性か,全身疾患の有無,医薬品の使用の有無を確認する。
自他覚所見をもとに病巣の首座が皮膚か,眼瞼縁かに分類する。皮膚に首座がある場合は,軟膏や内服を中心とした治療になる。眼瞼縁に首座がある場合は,点眼を中心とした治療が選択される。治療薬の選択に関しては,感染性か非感染性かを鑑別することが最も重要になる。眼瞼縁炎に関しては,前部眼瞼縁炎の場合は感染性で急性の場合が多いが,後部眼瞼縁炎の場合はマイボーム腺機能不全が関与し,慢性の経過をたどることが多い。
細菌,ウイルスなどの病原体を同定できれば理想的だが,実際の診療では所見をもとに類推して治療を開始することが多い。それぞれの病原体に応じた抗微生物薬を局所,場合によっては全身に投与する。
アトピー性皮膚炎,接触皮膚炎,薬剤性皮膚炎などを鑑別し,アトピーの場合は疾患治療を,その他の場合は原因となる物質を回避するようにする。アトピー性皮膚炎の場合は感染症の合併に注意する必要がある。マイボーム腺機能不全に伴う場合は眼瞼縁の清拭が重要になる。
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