株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

免疫チェックポイント阻害薬による肺癌治療

No.5009 (2020年04月25日発行) P.54

小林信明  (横浜市立大学呼吸器病学講師)

金子 猛 (横浜市立大学呼吸器病学主任教授)

登録日: 2020-04-22

最終更新日: 2020-04-21

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【現状と今後の展望】

がんに対する免疫療法の歴史は長いが,近年の免疫チェックポイント阻害薬の登場により標準治療の選択肢のひとつとなった。非小細胞肺癌では,免疫細胞のブレーキとなるPD-1/PD-L1経路のいずれかの分子を標的とした抗体製剤が用いられており,最新のガイドラインでは,従来の殺細胞性抗癌剤との併用または単独での使用や,放射線化学療法後の維持療法での使用が推奨されている1)。いずれの臨床試験でも一部の症例でlong tail effectと呼ばれる長期生存が認められ,これが肺癌患者に光明を与えている。

非小細胞肺癌の治療に革命的な変化をもたらした免疫チェックポイント阻害薬であるが,多くの課題が残されている。がん細胞のPD-L1発現量は効果予測因子としての有用性は限定的であり,その結果として,無効またはきわめて効果の乏しい症例にも本薬剤が使用されており,少なくない副作用や医療経済的な側面からも望ましい状況ではない。また,一度効果が得られた症例における耐性化も克服すべき課題である。がん特異抗原の発現低下や他のチェックポイント分子の発現増強など,複数の耐性機序が同定されているが,症例に応じた耐性機序の克服でさらなる治療効果の改善が期待される2)。さらに,最近適応追加となった小細胞肺癌においても,同様の課題を克服していく必要がある3)

【文献】

1) 日本肺癌学会:肺癌診療ガイドライン2018年版. 2019.

2) Jenkins RW, et al:Br J Cancer. 2018;118(1):9-16.

3) Horn L, et al:N Engl J Med. 2018;379(23): 2220-9.

【解説】

小林信明*1,金子 猛*2  横浜市立大学呼吸器病学 *1講師 *2主任教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top