中央社会保険医療協議会は5月8日、持ち回りで総会を開き、新型コロナウイルス感染症治療薬として7日付で特例承認された「ベクルリー点滴静注液100mg、同点滴静注用100mg」(成分名:レムデシビル)について、評価療養の対象とすることを了承した。
レムデシビルの製造販売業者であるギリアド・サイエンシズ社は、当面、薬価収載希望書は提出せず、同剤を無償で提供する意向を明らかにしており、この間は公的な管理の下で流通させることになる見通しだ。
8日の総会では、保険診療を受けた患者に無償提供されたレムデシビルを使用する場合の取り扱いについて協議した。その結果、同剤がすでに薬事承認を受けていることから、評価療養のメニューである「薬事承認後で保険適用前の医薬品の投与」に類似するケースだと判断。時限的・特例的な対応として評価療養の対象とし、保険診療との併用を認めることを決めた。今後、一般的な流通への移行が見込まれ、企業側から薬価収載の希望があった場合には、速やかに対処する方針も併せて確認した。
一方、厚生労働省は同日、総会で決定したレムデシビルの取り扱いなどを示す疑義解釈資料を関係部局に送付した。このなかで、新型コロナウイルス感染症に関する厚生労働科学研究班でのアビガン錠(成分名:ファビピラビル)の使用にも触れ、▶治療薬のない感染症への有効性を検証する治験における診療と類似している、▶ファビピラビルの企業治験に参加している患者との公平性に配慮する必要がある─との理由から、保険診療との併用が認められるものとして運用していると説明した。