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「医学界から相次ぐ終末期ガイドライン」[長尾和宏の町医者で行こう!!(44)]

No.4724 (2014年11月08日発行) P.14

長尾和宏 (長尾クリニック)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-17

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  • 医学界から相次ぐ終末期ガイドライン

    日本老年医学会の「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」や日本医師会、厚労省の終末期ガイドラインなど、医療界から相次いで終末期ガイドラインが発表されている。さらに今春、日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会は3学会合同で「終末期医療に関するガイドライン」を発表した。治療しても数日以内に死亡が予想される時、本人の意思が明らかでなく家族が判断できない場合、主治医を含む「医療チーム」で延命治療を中止できる─といった指針が述べられている。

    今後、これらのガイドラインを医療現場でどう活かすかが大きな課題となる。さらに医療・介護者のみならず全国民への分かりやすい周知が急務である。今回、3学会の合同作業は高く評価できる。そして最終的には日本医学会ないし日本医師会が専門家集団として我が国ひとつのガイドラインへの統合を目指すべきであろう。

    一方、政治の場に目を向けてみれば、超党派の百数十名の国会議員が「終末期の医療における患者の意思を尊重する法律案」の上程を目指して議論を重ねて9年が経過した。私も参加してきたが、残念ながら議論は停滞している。ちなみに先進国でリビングウィルが法的担保されていないのは日本だけだ。しかし日本医師会、難病や障害者の患者団体、日本弁護士連合会、日本宗教連盟などの多くの団体は、リビングウィルの法的担保には反対の立場を表明している。

    現在議論されているのはあくまで「終末期の医療における患者の意思を尊重する法律案」であることを、ここに明記しておきたい。今後「立派な終末期ガイドラインがあるから法的担保は必要ない」とするのか、「それでも法的担保は必要だ」とするのか、充分に議論すべきだ。

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