【難治性の非感染性ぶどう膜炎に対して抗TNFα薬が有効】
非感染性ぶどう膜炎の治療の柱は副腎皮質ステロイド(以下,ステロイド)であり,難治例では免疫抑制薬であるシクロスポリンが併用されてきたが,2016年から抗腫瘍壊死因子(TNF)α薬であるアダリムマブがわが国で使用可能となっている。この度,非感染性の中間部,後部,または汎ぶどう膜炎患者におけるアダリムマブ長期投与時の有効性・安全性を評価したVISUALⅢ試験の中間解析結果が報告されたので,その概要を紹介する1)。
VISUALⅢ試験はVISUALⅠ,Ⅱ試験の継続試験であり,424例のぶどう膜炎患者に非盲検下でアダリムマブ(40mg隔週)が投与された。ぶどう膜炎の沈静化状態が達成された患者割合は,活動性ぶどう膜炎では0週時に7%であったが12週時には60%となり,以降78週まで維持された。非活動性ぶどう膜炎では0週時の85%から78週時の74%まで維持された。経口ステロイド投与量については,78週時に鎮静化状態を達成した患者のうち,活動性ぶどう膜炎患者では66%,非活動性ぶどう膜炎患者では93%が経口ステロイドフリーであった。重篤な有害事象は157件(16.5件/100人年)報告された。
VISUAL試験(国際共同治験)は既存治療に抵抗する非感染性ぶどう膜炎および,ステロイド依存性の非感染性ぶどう膜炎に対してアダリムマブが有効であることを示しているが,わが国における有効性と安全性については今後の症例の蓄積が必要であると考える。
【文献】
1) Suhler EB, et al:Ophthalmology. 2018;125(7): 1075-87.
【解説】
楠原仙太郎 神戸大学眼科講師