藤田医科大は7月10日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)の効果を検討する特定臨床研究について「統計的有意差には達しなかった」とする最終報告を発表した。
同大を代表機関として全国47医療機関で実施された特定臨床研究(研究名:SARS-CoV2感染無症状・軽症患者におけるウイルス量低減効果の検討を目的としたファビピラビルの多施設非盲検ランダム化臨床試験、研究責任医師:土井洋平藤田医科大感染症科教授)には、3月上旬~5月中旬の間に無症状・軽症のCOVID-19患者89人が参加。
アビガンを研究参加1日目から投与する群(通常投与群)と6日目から投与する群(遅延投与群)に無作為に割り付け、ウイルス量については、研究参加時に既にウイルスが消失していたことが後日判明した患者などを除いた通常投与群36例・遅延投与群33例で評価した。
最終報告によると、①「6日目まで(遅延投与群が内服を開始するまで)の累積ウイルス消失率」は通常投与群66.7%、遅延投与群56.1%、②「6日目までのウイルス量対数値50%減少割合」は通常投与群94.4%、遅延投与群78.8%、③「37.5℃未満への解熱までの平均時間」は通常投与群2.1日、遅延投与群3.2日。統計的な有意差には達しなかったものの、アビガン通常投与群はウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られた。
有害事情については、アビガン投与中の患者の大半(84.1%)に尿酸値の上昇が見られたが、投与終了後には平常値まで回復。その他重篤な有害事象は見られなかったとしている。
COVID-19への効果が期待されているアビガンについては、2月下旬から藤田医科大を中心とした観察研究、3月末から富士フイルム富山化学による企業治験も進められている。