株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

不整脈[私の治療]

No.5022 (2020年07月25日発行) P.46

朝海廣子 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2020-07-28

最終更新日: 2020-07-20

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • Ⅰ.頻脈性不整脈

    頻脈性不整脈は,洞調律から逸脱して頻脈を呈する病態であり,上室性頻脈と心室性頻脈に大別される。上室性頻脈には発作性上室性頻拍,心房細動,心房粗動等,心室性頻脈には心室頻拍と心室細動がある。小児では発作性上室性頻拍が圧倒的に多く,特にWPW症候群の頻度が高く,心房粗細動,心室性頻脈は稀である。心室頻拍は,心筋症や遺伝性不整脈疾患等の基礎疾患に伴う場合がある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    動悸,胸痛,失神等がみられる。頻脈が持続することで心不全症状を呈することがある。

    【検査所見】

    心電図(モニター心電図,ホルター心電図を含む)で頻脈を認める。発作性上室性頻拍では,通常P波はQRS波の後方にあるが,心拍数が非常に速いと判別が困難な場合もある。心室頻拍では,QRS波は幅広となり,房室解離を認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    発作性上室性頻拍は一般的には予後良好であり,症状があっても軽度な場合は経過観察でもよい。臨床的に症状を繰り返す場合や,発作時の症状が重篤な場合は治療の適応となる。心室性頻脈はより重症度が高く,背景疾患として心筋症やQT延長症候群等の遺伝性不整脈疾患の有無を検索する必要がある。

    【注意】

    動悸や失神の症状を繰り返していても,安静時の心電図は正常であることも多いため診断が困難なことがある。遺伝性不整脈疾患等の致死性不整脈疾患を見逃さないことが重要であり,特に失神症例や家族歴のある症例は厳重にフォローする必要がある。

    【禁忌】

    WPW症候群では,房室結節のみを抑制するカルシウム拮抗薬は禁忌である。また,WPW症候群における心房細動では,房室結節の抑制により副伝導路を介した心室への速い伝導が心室細動を誘発する危険性があるため,アデホス®(アデノシン三リン酸)の投与も原則禁忌である。

    残り3,708文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top