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眼瞼下垂[私の治療]

No.5035 (2020年10月24日発行) P.36

川島素子 (久喜かわしま眼科副院長)

野田実香 (慶應義塾大学医学部眼科非常勤講師)

登録日: 2020-10-23

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  • 眼瞼下垂とは,上眼瞼が下がって瞳孔にかかるようになり,眼瞼を十分に挙げられなくなる病気である。上方から視野が狭くなるという視覚的な障害のほか,外見的な問題も伴う。眼瞼下垂は主に,先天性眼瞼下垂,後天性眼瞼下垂,偽眼瞼下垂(眼瞼皮膚弛緩など)に分類される。原因や程度により治療法や治療効果などが異なる。最も多いのは,加齢やハードコンタクトレンズの長期装用に伴い生じる腱膜性眼瞼下垂である。稀に,急性発症の眼瞼下垂が脳血管障害に起因するものであったり,日内変動のある眼瞼下垂では重症筋無力症が原因の場合もあるため,注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    正面を見た状態で,上眼瞼が瞳孔にかかっていたら眼瞼下垂。下垂の程度を判定するために瞳孔中央と上眼瞼の距離(margin reflex distance:MRD,正常値4.0~4.5mm)を測定する。眼瞼下垂のタイプ診断・術式選択のためには,上眼瞼挙筋機能の測定を行う。眉毛の上を押さえ,最下方視と上方視をさせた際の瞼縁の移動距離を測定する(10 mm以下が異常値)。上眼瞼挙筋機能が低下していれば,筋肉自体または動かす神経に問題がある可能性がある。

    急性発症の(片眼性)眼瞼下垂の場合には,脳梗塞,脳動脈瘤や糖尿病などによる動眼神経麻痺などが疑われるため,CTやMRIでの頭蓋内の検査や血液検査を行う。

    日内変動が大きい場合は重症筋無力症を疑い,抗アセチルコリン受容体抗体が検出されるか,などの血液検査を行う。

    問診では,発症時期,出生歴,家族歴,既往歴,外傷歴,症状の日内変動の有無・閉瞼不全の有無について聴取する。

    そのほか,額のしわの具合や,眉の高さの左右差・顎を上げて物を見ようとしているかを診察する。瞳孔径の左右差や,眼球運動障害の有無,咀嚼時にまぶたが上がるようなMarcus Gunn現象の有無について確認する。

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