株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

眼窩腫瘍[私の治療]

No.5036 (2020年10月31日発行) P.47

髙村 浩 (公立置賜総合病院外科系統括診療部長兼眼科科長)

登録日: 2020-11-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 眼窩腫瘍は全眼疾患の中で5%以下の発症頻度の稀少な疾患ではあるが,眼球突出や眼球運動障害などの視機能障害をきたし,悪性腫瘍であれば生命をも脅かすことがある。

    ▶診断のポイント

    主たる診断方法は,眼窩部のMRIやCT検査などの画像診断である。皮様嚢腫,血管腫,神経鞘腫,リンパ管腫などは,典型像を示せば画像のみで診断可能である。血管腫では造影dynamic MRIが有用である。悪性腫瘍の全身転移の有無の検索には,PET/CTや全身CT検査などを行う。

    可能であれば生検で病理組織学的に診断する。

    血液検査では,眼窩腫瘍で最多の悪性リンパ腫については可溶性インターロイキン2レセプター(sIL-2R)やβ2ミクログロブリン,LDHを検索する。炎症性疾患が腫瘍のようにみえる特発性眼窩炎症(炎症性偽腫瘍)やIgG4関連眼疾患があるが,特に後者では血中のIgG4値を測定する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    孤発性であり,境界が鮮明で手術によって摘出が可能と思われる涙腺多形腺腫,血管腫,皮様嚢腫などの特に良性腫瘍には手術を選択する。手術で全摘出できない場合には放射線治療,眼窩以外の部位にも病変がある場合には抗癌剤の薬物療法を行う。特発性眼窩炎症やIgG4関連眼疾患にはステロイド治療を行う。

    残り1,966文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top