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点状表層角膜症[私の治療]

No.5042 (2020年12月12日発行) P.54

片上千加子 (ツカザキ病院眼科顧問)

登録日: 2020-12-10

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  • 点状表層角膜症(superficial punctate keratopathy:SPK)は,微細な点状の角膜上皮欠損を呈する病態である。
    炎症を伴わないSPKは,角膜異物,結膜異物,睫毛乱生,コンタクトレンズなどによる物理的障害,ドライアイ,紫外線,兎眼,メージュ症候群,Meesmann角膜上皮ジストロフィーなどが原因となる。

    炎症を伴うSPKは,Thygeson点状表層角膜炎,流行性角結膜炎でみられる上皮下多発浸潤や,春季カタル,アトピー性角結膜炎などのアレルギーに起因するもの,上輪部角結膜炎,結膜弛緩症,lid wiper epitheliopathy(LWE),糸状角膜炎などの瞬目時の摩擦亢進に起因するもの,マイボーム腺機能不全(MGD),輪部疲弊症や水疱性角膜症などの角膜疾患,薬剤毒性,感染症に伴うもの,脳腫瘍,糖尿病,レーシック後,角膜移植術後などの三叉神経障害に起因する神経麻痺性角膜症が挙げられる。

    SPK発症部位は,眼瞼結膜に病変をきたす春季カタル,結膜結石,上輪部角結膜炎,LWEなどに起因するSPKは角膜上方に生じやすく,神経麻痺性角膜症や糖尿病角膜症,マイボーム腺機能不全に関連したSPKは角膜中央にみられることが多い。閉眼不全,涙液減少型ドライアイ,結膜弛緩症などでは角膜中央から下方に多い。薬剤毒性角膜症は,塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤,眼圧下降薬,アミノグリコシド系抗菌薬,抗真菌薬などに起因し,SPKが角膜全面に生じ,進行すれば渦巻き角膜症,クラックライン,遷延性上皮欠損,輪部機能不全の順に進行する。
    SPKの症状としては,異物感,羞明,眼痛などを訴え,瞳孔領に及ぶと視力低下もきたす。

    ▶診断のポイント

    細隙灯顕微鏡で上下眼瞼結膜および角膜表面を詳細に観察し,角膜上皮下浸潤などの炎症所見の有無を観察する。フルオレセイン染色にて染色範囲やパターン,角膜透過性亢進所見の有無なども観察する。Cochet-Bonnet角膜知覚計を用いた角膜知覚の計測,涙液量の測定も行う。MGDが疑われる場合は,マイボーム腺開口部・マイボーム腺分泌物の性状の観察,涙液油層の観察,可能であればマイボグラフィーも施行する。アレルギーの有無,全身疾患の有無,現在使用している点眼薬の問診も必ず行う。

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