レーシックに代わる近視矯正手術として、眼の中にソフトコンタクトレンズのような有水晶体後房レンズ(ICL)を挿入する新治療が注目を集めている。今年3月には従来のICLの欠点を克服した穴あきICL「KS-AP」が厚生労働省に認可されたが、この新レンズを開発したのが清水さんだ。「従来のレンズでは2回手術が必要でしたが、レンズに0.36mmの小さな穴をあけたことで、手術が1回で済むようになりました。術後の眼圧上昇、白内障の進行を早めるリスクの軽減も期待できます。始めて7年で長期成績は出ていませんが、白内障は1例も発生していません」と話す。
眼科医になった当初から、「治せない患者さんを何とかしたい」一心で、新しい手術法やデバイスがあると聞くと米国やヨーロッパへ飛び、いち早く新技術を取り入れてきた。1984年、作家の吉行淳之介さんに、日本では普及していなかった眼内レンズ(人工水晶体)を使った白内障手術を実施。翌年、吉行さんが執筆したエッセイ「人工水晶体」が『文藝春秋』に掲載されると、当時の厚生大臣までが清水さんに同手術を依頼し、眼内レンズの白内障手術は異例のスピードで保険承認された。
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