脳腫瘍とは頭蓋内に発生する腫瘍の総称で,発生頻度は人口10万人に対し10~15人程度である。主な脳腫瘍の発生頻度は,神経上皮性腫瘍(25.6%),髄膜腫(23.8%),下垂体腺腫(16.8%),神経鞘腫(8.7%),原発性中枢神経系リンパ腫(4.8%),頭蓋咽頭腫(2.2%)である1)。悪性度によってWHO gradeⅠ~Ⅳに分類され,grade Ⅳが最も悪性である2)3)。腫瘍の悪性度を判断して,経過観察,手術,化学療法,放射線治療などが選択される。
腫瘍の存在部位により,半身麻痺,失語,視野障害など,脳の機能局在による巣症状を呈する。テント上に発生した腫瘍では痙攣発作をきたすこともあり,初発症状であることも多い。腫瘍が大きくなって脳を圧迫したり,脳浮腫が進行したりすると,頭蓋内圧亢進症状を呈する。頭痛,嘔気・嘔吐,うっ血乳頭が三主徴である。脳ヘルニアを起こすと意識障害,呼吸異常,瞳孔異常,運動麻痺などをきたす。典型的な鉤ヘルニア(テント切痕ヘルニア)では,意識障害,瞳孔散大,動眼神経麻痺,片麻痺,除脳硬直などが起こる。
多くの脳腫瘍はCTやMRIでよく描出され,造影剤による増強効果がある。MRIのT1強調画像では低信号,T2強調画像では高信号であることが多い。悪性の場合には,特に周辺に脳浮腫像がみられることも多い。T1強調画像で高信号となる腫瘍は,頭蓋咽頭腫の囊胞内容液,悪性黒色腫などに限られる。類上皮腫は拡散強調画像で高信号となるのが特徴である。
脳腫瘍が疑われたら,速やかに脳神経外科医にコンサルトするべきである。
脳腫瘍には多くの種類があり予後も様々なので,まず画像検査により診断をつけ,経過観察か治療かを選択する。治療の基本は開頭術による摘出であるが,腫瘍型によっては化学療法や放射線治療を先行させるものもある。悪性腫瘍が疑われる場合には,手術による摘出や生検で組織型と悪性度を診断することが重要である。
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